既婚者のマッチングアプリ利用は違法?法的リスクと慰謝料問題を解説
「既婚者がマッチングアプリを使うのは違法なの?」そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、アプリの利用自体は違法ではありません。しかし、不貞行為に発展した場合や、相手に独身と偽った場合は、慰謝料請求などの法的リスクが発生します。
本記事では、既婚者のマッチングアプリ利用について、どんな場合に違法となるのか、発生する法的リスクや慰謝料の相場、そしてトラブルを避けるための注意点まで、弁護士の解説を交えながら詳しく解説します。配偶者にバレた時のリスクや、相手から訴えられる可能性など、知っておくべき重要な情報をまとめました。
既婚者のマッチングアプリ利用は違法なのか?法律の観点から解説
「既婚者がマッチングアプリを使うことは違法なのでは?」そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。実は、アプリの利用自体には法的な問題はありません。しかし、利用規約違反と法律違反は別物だということを理解しておく必要があります。
この章のポイント
マッチングアプリの利用自体に違法性はない
利用規約違反と法律違反は別の概念
既婚者専用アプリも法的には問題なし
マッチングアプリの利用自体は違法ではない
多くの人が誤解していますが、既婚者によるマッチングアプリの利用は違法ではありません。刑法上、アプリをダウンロードしたり、プロフィールを作成したりする行為自体を処罰する法律は存在しないのです。民法上も、単にアプリを使うだけでは不法行為には該当しません。
ただし、アプリの利用から発展する行為によっては法的責任が生じる可能性があります。重要なのは「利用すること」と「利用後の行動」を区別して考えることです。アプリはあくまでも出会いのツールであり、その後の行動次第で法的な評価が変わってくるのです。
利用規約違反と法的な違法性の違い
多くのマッチングアプリでは、利用規約で既婚者の利用を禁止しています。しかし、これはあくまでも民間企業との契約違反であり、法的な違法行為とは異なります。規約違反をしても、警察に逮捕されたり、刑事罰を受けたりすることはありません。
種類 | 内容 | 罰則・リスク |
---|---|---|
利用規約違反 | アプリ運営会社との契約違反 | アカウント停止・削除 |
法的違法行為 | 刑法・民法に違反する行為 | 刑事罰・民事責任(慰謝料等) |
例えば、Tinderやペアーズなどの大手アプリは既婚者の利用を禁止していますが、これに違反してもアカウントが削除されるだけです。一方、不貞行為などの法的違法行為を行った場合は、民事上の慰謝料請求の対象となり、数百万円の支払いを命じられる可能性があります。
既婚者専用マッチングアプリの法的位置づけ
実は、既婚者専用のマッチングアプリも存在します。これらのアプリは完全に合法であり、運営も利用も法的には何の問題もありません。利用者全員が既婚者であることを前提としているため、お互いの立場を理解した上でのコミュニケーションが可能です。
利用者全員が既婚者であることを前提としたサービス
友達作りや相談相手探しなど様々な目的で利用可能
不貞行為を推奨するものではない点に注意
ただし、これらのアプリを利用しても、不貞行為に発展すれば民法上の責任を問われることに変わりはありません。アプリが合法でも、そこでの出会いから生じる行為については、通常の法的評価が適用されることを忘れてはいけません。
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既婚者がマッチングアプリを使うこと自体は違法ですか?
いいえ、マッチングアプリの利用自体は違法ではありません。ただし、多くのアプリでは利用規約で既婚者の利用を禁止しているため、規約違反となる可能性があります。
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既婚者専用マッチングアプリは合法ですか?
はい、既婚者専用マッチングアプリの運営や利用は合法です。ただし、そこでの出会いから不貞行為に発展した場合は、民法上の不法行為となる可能性があります。
既婚者のマッチングアプリ利用が違法になるケース
既婚者のマッチングアプリ利用が違法となるのは、利用自体ではなく、その後の行動に問題がある場合です。特に不貞行為に発展した場合は、民法上の不法行為として慰謝料請求の対象となります。では、具体的にどのようなケースが法的問題となるのか見ていきましょう。
不貞行為の法的定義とは?
不貞行為とは、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことを指します。民法第709条の不法行為に該当し、慰謝料請求の対象となります。精神的な交流だけでは不貞行為には該当しません。
証拠がない場合でも責任は問われる?
証拠がなければ法的責任を問うことは困難です。ただし、メッセージのやり取りやホテルへの出入り写真など、状況証拠から推認される場合もあります。


30代既婚女性
食事だけなら問題ないということですか?
2024-12-15

家事事件専門・10年経験
食事だけなら不貞行為にはなりませんが、頻度や親密度によっては配偶者への精神的苦痛として問題になる可能性があります。
2024-12-15
不貞行為(肉体関係)があった場合
不貞行為とは、配偶者以外の異性と性的関係を持つことを指します。最高裁判所の判例では「配偶者のある者が、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」と定義されています。マッチングアプリでの出会いから不貞行為に発展した場合も例外ではありません。
慰謝料請求される可能性は高く、配偶者から100万円から300万円程度の請求を受けることが一般的です。さらに、不貞行為の相手からも、独身と偽っていた場合は貞操権侵害として慰謝料請求される可能性があります。二重の責任を負うリスクがあることを認識しておきましょう。
配偶者に対する不法行為となる場合
肉体関係がなくても、精神的な親密さが度を超えた場合は不法行為となることがあります。例えば、頻繁に会って深夜まで過ごす、恋愛感情を伴うメッセージを交換するなど、マッチングアプリで知り合った既婚者が違法な行為をしていなくても、配偶者に精神的苦痛を与えれば責任を問われます。
実際の判例では、「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為」として、肉体関係がなくても慰謝料50万円から100万円程度の支払いを命じたケースがあります。プラトニックな関係でも、度を越えれば法的責任が生じるのです。
相手に独身と偽った場合(貞操権侵害)
既婚者であることを隠して独身と偽り、相手と肉体関係を持った場合は貞操権侵害として不法行為が成立します。相手は「独身の人と恋愛関係になる」という期待を持って交際していたため、その期待を裏切られたことによる精神的苦痛に対して慰謝料請求が可能です。
貞操権侵害の慰謝料相場は50万円から200万円程度です。配偶者からの慰謝料請求と合わせると、相当な金額になる可能性があります。既婚者でマッチングアプリを使うことが違法ではなくても、嘘をついて相手を騙すことは明確な不法行為となることを肝に銘じておきましょう。
既婚者マッチングアプリ利用の法的リスクと慰謝料
既婚者がマッチングアプリを利用して違法行為に発展した場合、どのような法的リスクがあるのでしょうか。慰謝料の具体的な金額や、離婚時の不利益など、実際の判例を基に詳しく解説します。金銭的なリスクだけでなく、家族関係への影響も深刻です。
慰謝料リスクのまとめ
配偶者からの慰謝料:100〜300万円が相場
相手からの慰謝料:50〜200万円の可能性
離婚時の財産分与や親権で不利になるリスク
配偶者から請求される慰謝料の相場(100〜300万円)
配偶者から請求される慰謝料の金額は、不貞行為の期間・回数・婚姻期間の長さ・子どもの有無などによって決定されます。最新の判例では、短期間の不貞行為でも100万円程度、長期間にわたる場合は300万円を超えることもあります。既婚者のマッチングアプリ利用が違法行為に発展すると、経済的ダメージは避けられません。
特に、幼い子どもがいる家庭での不貞行為は、慰謝料が高額になる傾向があります。東京地裁の判例(2023年)では、結婚10年目で2人の子どもがいる夫婦のケースで、夫の不貞行為に対して250万円の慰謝料が認められました。家族への影響が大きいほど、賠償額も増加するのです。
請求者 | 請求理由 | 慰謝料相場 |
---|---|---|
配偶者 | 不貞行為による精神的苦痛 | 100〜300万円 |
不倫相手 | 貞操権侵害(独身と偽った場合) | 50〜200万円 |
配偶者 | 離婚に伴う慰謝料 | 200〜500万円 |
相手から貞操権侵害で請求される慰謝料
独身と偽って交際した場合、相手からも貞操権侵害として慰謝料請求される可能性があります。貞操権とは「性的な自己決定権」のことで、誰と性的関係を持つかを自分で決める権利です。既婚者であることを隠していた場合、この権利を侵害したとして責任を問われます。
実際の判例では、大阪地裁(2022年)で、マッチングアプリで知り合った女性に独身と偽って1年間交際した男性に対し、150万円の支払いが命じられました。相手の精神的苦痛の程度や交際期間の長さによって金額は変動しますが、既婚者でマッチングアプリの利用が違法でなくても、嘘による被害は賠償対象となります。
離婚原因になる可能性と有責配偶者の問題
不貞行為は民法第770条で定められた法定離婚事由の一つです。配偶者は不貞行為を理由に離婚を請求でき、裁判でも認められやすくなります。さらに、不貞行為をした側は「有責配偶者」となり、自分から離婚を請求することが原則として認められません。
有責配偶者からの離婚請求が認められるには、別居期間が相当長期間(通常7〜10年以上)であることなど、厳しい条件があります。また、財産分与や親権決定でも不利になる可能性が高く、既婚者にとってマッチングアプリ利用から違法行為に発展することは、人生を大きく左右するリスクとなるのです。
マッチングアプリで既婚者と知らずに交際した場合の対処法
マッチングアプリで出会った相手が既婚者だと後から判明した場合、どのように対処すべきでしょうか。被害者の立場でも、相手の配偶者から慰謝料請求される可能性があるため、適切な対応が必要です。既婚者とマッチングアプリで交際することが違法かどうかは、あなたの認識次第で変わります。
【重要】既婚者と知らずに交際していた場合でも、相手の配偶者から慰謝料請求される可能性があります。
ただし、相手が独身と偽っていた証拠があれば、故意・過失がないとして請求を退けられる可能性が高いです。
また、騙していた相手に対しては、貞操権侵害として慰謝料請求することも可能です。
証拠として保全すべきもの
- マッチングアプリのプロフィール画面のスクリーンショット
- 独身であると言っていたメッセージの履歴
- デートの際の領収書や写真
- 相手の本名や勤務先が分かる資料
相手の配偶者から慰謝料請求された場合の対応
相手の配偶者から慰謝料請求を受けた場合、まず故意・過失の有無が争点となります。相手が既婚者であることを知らず、知ることもできなかった場合は、不法行為の成立要件である「故意・過失」がないため、慰謝料支払い義務は発生しません。既婚者だとマッチングアプリで偽ることは違法行為の一端を担わされた被害者といえます。
重要なのは、独身だと信じた合理的な理由を証明することです。マッチングアプリのプロフィールで「独身」と記載されていた、メッセージで独身だと明言していた、指輪をしていなかったなどの証拠を集めましょう。ただし、交際期間が長い場合は「気づくべきだった」と判断される可能性もあるため、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
既婚者に対して慰謝料請求する方法
独身と偽っていた既婚者に対しては、貞操権侵害を理由に慰謝料請求が可能です。まず、内容証明郵便で慰謝料請求の意思を伝え、話し合いで解決を図ります。相手が応じない場合は、簡易裁判所での調停や地方裁判所での訴訟という手段があります。請求額は通常50万円から200万円程度です。
必要な証拠として、①独身と偽っていた証拠(メッセージ履歴等)、②実際に既婚者である証拠(住民票等)、③精神的苦痛を受けた証拠(診断書等)が挙げられます。証拠が揃っていれば、相手も争いにくくなるため、示談で解決することが多いです。既婚者のマッチングアプリ利用で違法に騙された被害は、きちんと賠償を求めることができるのです。
証拠として重要なメッセージやプロフィール情報
証拠保全で最も重要なのは、マッチングアプリ内でのやり取りです。プロフィール画面のスクリーンショット、メッセージの履歴、写真などは、相手がアカウントを削除する前に必ず保存しましょう。スマートフォンの画面録画機能を使えば、一連の流れを動画として記録することも可能です。
特に重要なのは、「独身です」「結婚していません」といった明確な嘘の証拠です。また、デートの際の写真や領収書、プレゼントなども、交際の実態を証明する重要な証拠となります。これらの証拠があれば、相手の配偶者からの請求を退けることも、騙した相手への請求も有利に進められます。証拠は時系列で整理し、弁護士に相談する際に提示できるようにしておきましょう。
既婚者がマッチングアプリを安全に利用するための注意点
既婚者がマッチングアプリを利用しても違法ではないとはいえ、リスクを回避するための注意が必要です。法的トラブルを避けながら、健全な目的でアプリを利用する方法を解説します。最も重要なのは、配偶者との関係性を大切にしながら、透明性のある利用を心がけることです。
利用目的を友達作りなど健全なものに限定する
プロフィールに既婚者であることを明記する
配偶者との関係改善を最優先に考える
順位 | アプリ名 | おすすめ理由 |
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1位
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2位
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3位
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利用目的を明確にし、不貞行為は避ける
既婚者がマッチングアプリを利用する際は、目的を明確にすることが重要です。友達作りや趣味仲間探し、仕事の人脈作りなど、健全な目的での利用であれば、法的リスクは格段に低くなります。プロフィールにも利用目的を明記し、相手に誤解を与えないようにしましょう。
不貞行為に発展させないための具体策として、①二人きりでの深夜の会合を避ける、②恋愛感情を示唆するメッセージを送らない、③身体的接触を控えるなどが挙げられます。既婚者でもマッチングアプリの利用は違法ではありませんが、一線を越えれば大きな代償を払うことになるため、常に自制心を持つことが大切です。
配偶者への発覚リスクと対策
マッチングアプリの利用が配偶者に発覚する典型的なパターンは、①スマートフォンの通知、②クレジットカードの明細、③共通の知人からの情報です。これらのリスクを回避するには、通知をオフにする、専用のプリペイドカードを使う、身バレ防止機能のあるアプリを選ぶなどの対策が有効です。
万が一発覚した場合は、嘘をつかずに正直に説明することが重要です。隠し事や嘘は信頼関係をさらに損ないます。利用目的が健全なものであれば、理解を得られる可能性もあります。ただし、既婚者にとってマッチングアプリ利用が違法でなくても、配偶者の感情を考慮し、必要であれば利用を控える決断も大切です。
トラブルを避けるための心構え
トラブルを避けるためには、相手への誠実な対応が不可欠です。既婚者であることを隠さず、最初から正直に伝えることで、後々のトラブルを防げます。また、相手が独身の場合は、恋愛感情を持たせないよう配慮し、友人関係の範囲を超えないよう注意が必要です。
具体的な行動指針として、①定期的に配偶者とのコミュニケーションを大切にする、②アプリの利用時間を制限する、③感情的な依存関係を作らないことが重要です。何より、家族を第一に考え、アプリはあくまでも補助的なツールとして利用する姿勢が大切です。健全な利用を心がければ、法的リスクも人間関係のトラブルも回避できるでしょう。
まとめ
本記事では、既婚者のマッチングアプリ利用が違法かどうかについて、法律の観点から詳しく解説してきました。結論として、アプリの利用自体は違法ではありませんが、その後の行動によっては重大な法的リスクが生じることがお分かりいただけたでしょう。
この記事のまとめ
マッチングアプリの利用自体は違法ではない
不貞行為に発展すると法的リスクが生じる
利用する場合は目的を明確にし、配偶者への配慮を忘れない
最も重要なのは、マッチングアプリの利用が既婚者にとって違法ではないからといって、何をしても良いわけではないということです。配偶者との信頼関係、家族の幸せ、そして自分自身の将来を考えて、慎重に行動することが求められます。もし利用する場合は、透明性を保ち、健全な目的に限定することをお勧めします。
また、既婚者と知らずに交際してしまった方は、早めに証拠を保全し、必要に応じて法的な助言を求めることが大切です。誰もが幸せな人間関係を築けるよう、この記事が皆様の参考になれば幸いです。マッチングアプリは便利なツールですが、使い方次第で人生を大きく左右することを忘れないでください。

aimatch編集部21名の編集部員が実際に様々なアプリを使って、アプリを調査しています。
家事事件専門・10年経験
マッチングアプリで出会っただけでは違法になりませんが、そこから不貞行為に発展すると民事上の責任が生じます。
2024-12-15